]だのという古めかしい文字使いをしていた。シャール十世のように国民軍の服をつけ、ナポレオンのようにレジオン・ドンヌール勲章の大綬をつけていた。
 彼は礼拝堂に行くことはきわめてまれであり、狩猟に行くことは決してなく、オペラに行くことはかつてなかった。教会堂の納室係りや猟犬番人や踊り娘《こ》などにとっては、彼はまったく救われない人物だった。そしてそれは市民間に彼の評判をひろげる一助となった。彼は少しもお取り巻きを持っていなかった。いつも腕の下に雨傘《あまがさ》を抱えて出かけた。そしてその雨傘は長く彼の円光の一部となった。左官や庭師や医者などの心得も多少あった。馬から落ちた御者に刺※[#「月+各」、第3水準1−90−45]《しらく》をしてやったこともある。それからはいつも、アンリ三世が必ず短刀を持って外出したように、必ず手術針を持って外出した。患者を回復させんためにその血を流出さしてやった最初の人であるそのおかしな王を、王党の者らはあざ笑っていた。
 ルイ・フィリップに対して歴史が加える非難のうちには、実は控除しなければならないものがはいっている。およそ王位そのものに帰すべきものがあり、国
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