表にはあて名も書いてなく、裏には封もしてなかった。けれども開いたままのその封筒は空《から》ではなかった。中に紙がはいってるのが少し見えていた。
 コゼットはそれを調べてみた。それはもう恐怖でもなく、好奇心でもなく、心配の初まりだった。
 彼女は封筒からその中のものを引き出した。紙をとじた小さな帳面で、各面にはページ数がついていて、数行の文字が認めてあった。ごく細かな字で、かなりみごとな筆跡だとコゼットは思った。
 コゼットは名前をさがしたが、どこにもなかった。署名をさがしたがなかった。いったいだれにあてられたものだろうか? 彼女の腰掛けの上に置かれてる所を見ると、おそらく彼女にあてられたものであろう。しかしいったいだれからよこしたものであろうか? 不可抗な魅惑に彼女はとらえられた。自分の手の中に震えてる紙から目をそらそうとして、空を見、街路を見、朝日を浴びてるアカシヤの木を見、隣の屋根の上に飛んでる鳩《はと》を見たが、その視線はすぐ手紙の上に落ちてきた。そして中に何が書いてあるかを見てみなければならないように思った。
 彼女が読んだことは次のとおりだった。

     四 石の下の心

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