ません、どうせ一度は死ぬ身でございますもの。でもそんな男どもがお嬢様に手をつけるのは考えてもたまらないことでございます。それに刃物、それもきっとよく切れないものにきまっています。ああほんとに!」
「もういいよ。」とコゼットは言った。「どこもよく締まりをしてちょうだい。」
コゼットはトゥーサンが即座に組み立てた惨劇の一幕に脅かされ、またおそらく先週に見た幻を思い浮かべたりして、「腰掛けの上にだれかが置いた石をまあ見てきてごらん」とも言うことができなかった。庭の戸口を開けたら「男共」がはいって来るかもしれないような気がした。彼女は方々の戸や窓をよくしめさせ、窖《あなぐら》から屋根裏の部屋まで家中をトゥーサンに見回らせ、自分の室に閉じこもり、扉《とびら》にはよく※[#「金+饌のつくり」、第4水準2−91−37]《かけがね》をし、寝台の下までのぞき込んで、それから床についたが、よく眠れなかった。山のように大きくて洞穴《どうけつ》がたくさんある石を、夜通し彼女は夢現《ゆめうつつ》に見続けた。
日の出に――日の出の特質は夜間の恐怖をことごとく一笑に付し去らせることにある、そしてその笑いは常に夜
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