出てきた時、すぐ前にその影を長く芝地の上に投じた。
 コゼットは驚いて足を止めた。
 彼女の影のそばに、月はも一つ他の影を芝地の上にはっきり投げていた。妙に気味悪い恐ろしい影で、丸い帽子をかぶっていた。
 彼女の後ろ数歩の所に茂みの端に立ってる一人の男の影らしかった。
 彼女はしばらく、口をきくこともできず、叫ぶことも、人を呼ぶことも、身動きすることも、また振り返ることもできなかった。
 ついに彼女は勇気を振るい起こして、決然と後ろをふりむいた。
 そこにはだれもいなかった。
 彼女は地面を見た。影は消えうせていた。
 彼女は茂みの中に戻ってゆき、大胆にもすみずみをうかがい、鉄門の所までも行ったが、何も見つからなかった。
 彼女は実際ぞっと寒さを感じた。これもまた幻覚だったろうか。しかも、二日続いて! 一度ならまだしも、二度もあろうとは! ことに不安なのは、その影が確かに幽霊ではなかったことである。幽霊なら丸い帽子をかぶってるはずはない。
 その翌日ジャン・ヴァルジャンが帰ってきた。コゼットは彼に自分が聞いたと思い見たと思ったもののことを話した。父はきっと自分を安心させてくれ、「お前は
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