うにお金なしでは暮らしていけません。」
「といって一文なしだからね。」
 婆さんは行ってしまって、老人が一人残った。彼は考え込み始めた。ガヴローシュの方でも考え込んだ。もうほとんど夜になっていた。
 考えた結果ガヴローシュはまず、生籬《いけがき》を乗り越すことをやめて、その下にもぐり込んだ。茂みの下の方に少し枝のすいてる所があった。
「おや、ちょうどいい寝場所だ!」とガヴローシュは心の中で叫んで、そこにうずくまった。彼の背中はほとんどマブーフ老人のベンチに接するほどになって、その八十翁の息まで聞くことができた。
 そして彼は食事にありつかんために一寝入りしようとした。
 それは猫《ねこ》の居眠りであり、片目の微睡であった。うつらうつらしながらガヴローシュは待ち受けていた。
 薄ら明りの空の光は地面にほの白い光を送って、小路は暗い二条の叢《くさむら》の間に青白い線を描いていた。
 突然その青白い一筋の道の上に、二つの人影が現われた。一つは先に立ち、一つは少しあとに離れていた。
「ふたりの男がやってきたぞ。」とガヴローシュはつぶやいた。
 先頭の人影は年取った市民らしく、少し前かがみに何か
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