と裏の中庭とにまた多くいるようになった。彼女はほとんど終日ジャン・ヴァルジャンのそばについていて、彼の好きな書物を読んでやった。その多くは旅行記だった。ジャン・ヴァルジャンは再生の思いをし、彼の幸福は得も言えぬ光輝をもってよみがえってきた。リュクサンブール、見知らぬ若い徘徊者《はいかいしゃ》、コゼットの冷淡など、すべて彼の心にかかっていた暗雲は消えてしまった。彼は自ら言うようになった、「それらは皆私の思いなしだった。私は年がいもないばか者だ。」
彼の幸福はごく大きかったので、ジョンドレットの陋屋《ろうおく》でテナルディエ一家の者らとの意外な恐ろしい遭遇も、心にあまり打撃を与えなかった。とにかく彼は首尾よく脱走し、足跡をくらましてしまったのである。その他はもうどうでもいいことだった。彼はそれを思う時、ただ悪人らをあわれむだけだった。彼は考えた、「彼らはもう獄に投ぜられている。以後自分に害を加えることはできない。だがいったい何という痛ましい不幸な一家であろう!」
またメーヌ市門で見た嫌悪《けんお》すべき光景については、コゼットももう再び口にしなかった。
修道院でコゼットは、サント・メ
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