にやさしく答えた。
「いいえ。」
ジャン・ヴァルジャンはその悲しい調子にいら立ち、そのやさしい調子に心を痛めた。
まだ年若いがしかも既に見透かし難いこの精神のうちには何が起こったのか。いかなることが遂げられつつあったのか。コゼットの魂には何が到来しつつあったのか。時とするとジャン・ヴァルジャンは、寝もやらず寝床のそばにすわって両手に額をうずめ、そのまま一夜を明かしながら自ら尋ねた、「コゼットは何を考えているのだろう。」そしてコゼットが考えそうなことをあれこれと思いめぐらした。
そういう時に彼は、修道院生活の方へ、あの清浄なる峰、あの天使の住居、あの達すべからざる高徳の氷山の方へ、いかに悲しい目を向けたことか! 世に知られない花と閉じこめられた処女とに満ち、あらゆる香気と魂とがまっすぐに天の方へ立ちのぼっている、あの修道院の庭を、絶望的な喜悦をもって彼はいかに思いやったことか。自ら好んで去り愚かにもぬけ出してきたあの永遠に閉ざされたるエデンの園を、いかに彼は今賛美したことか。自分の献身のためにかえってつかまれ投げ倒されたあわれむべき犠牲の勇士たる彼は、コゼットを世に連れ戻した自分の
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