している時に、欲するところのものを得ている時に、しかもそれは至当であり正しきものであり、自らその価を払って得たものである時に当たって、すべては去り、すべては消えうせんとするのか。コゼットを失い、自分の生命と喜びと魂とを失わんとするのか。そしてそれもただひとりのばか者がリュクサンブールの園にきて徘徊《はいかい》し出したがためである!」
かくて彼の瞳《ひとみ》は、悲しいまた尋常ならぬ輝きに満ちてきた。それはもはや他の男を見つむるひとりの男ではなく、敵を見つむるひとりの仇《あだ》ではなく、盗賊を見つむる一匹の番犬であった。
それより先のことは読者の知るところである。マリユスはなお続けて無鉄砲であった。ある日彼はウエスト街までコゼットの跡をつけた。またある日は門番に尋ねてみた。門番の方でもまた口を開いてジャン・ヴァルジャンに言った。「旦那様《だんなさま》、ひとりの変な若者があなたのことを尋ねていましたが、あれはいったい何者でしょう!」その翌日ジャン・ヴァルジャンはマリユスに一瞥《いちべつ》を与えたが、マリユスもついにそれに気づいた。一週間の後にジャン・ヴァルジャンはそこを去った。リュクサン
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