と、その友人らと話すのを聞けば彼の声にはいかにも美しい響きがあること、その歩き方はまあ言わば不器用ではあるがまた独特の優美さを持ってること、どこから見ても愚物ではなさそうであること、その人品は気高くやさしく素朴で昂然《こうぜん》としていること、貧乏な様子ではあるがりっぱな性質らしいことなど。
ついにふたりの視線が出会って、人知れぬ名状し難い最初のことを突然目つきで伝え合った日、コゼットはそれがどういう意味か初めはわからなかった。彼女はジャン・ヴァルジャンがいつものとおり六週間を過ごしにきてるウエスト街の家へ、思いに沈みながら帰っていった。翌朝目をさますと、彼女はまずその知らぬ青年のことを頭に浮かべた。彼は長い間冷淡で氷のようであったが、今は彼女に注意を払ってるらしかった、そしてその注意が快いものだとはどうしても彼女には思えなかった。彼女はその美しい傲慢《ごうまん》な青年に対してむしろ憤激をさえいだいた。戦いの下心が彼女のうちに動いた。これから意趣返しをしてやることができそうな気がして、まだごく子供らしい喜びを感じた。
自分がきれいであることを知っていたので彼女は、漠然《ばくぜん》と
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