い》であって、他の一つは恋である。
自分の美を信ずるとともに、女性的魂はすべて彼女のうちに目ざめてきた。彼女はメリノの長衣をいといペルシの帽子を恥ずかしく思った。父は彼女に決して何物をも拒まなかった。彼女はすぐに、帽子や長衣や肩衣や半靴《はんぐつ》や袖口《そでぐち》やまた自分に似合う[#「似合う」は底本では「以合う」]布地や色などに関するあらゆる知識を得た。その知識こそは、パリーの女をしていかにも魅力あらしめ趣深からしめまた危険ならしむるものである。妖婦[#「妖婦」に傍点]という言葉はパリーの女のために作り出されたものである。
一月とたたないうちに小さなコゼットは、バビローヌ街の人気《ひとけ》少ない所において、パリーの最もきれいな女のひとりとなっていたばかりでなく、それも既に何かではあるが、なおその上にパリーの「最もりっぱな服装《なり》をした」女のひとりとなっていた、これは実に大したことである。彼女は「あの通行人」に出会って、彼が何というかを聞いてみたく、また「彼に見せしめてやりたい」とも思ったかも知れない。実際彼女はすべての点において麗わしく、またジェラールの帽子とエルボーの帽子
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