すっかり用意の整ってる一つの心があった。今はただ愛が現われるのを待つばかりだった。そこには、緑葉と草と苔《こけ》と小鳥のため息とやさしい影と揺らめく枝とから成ってる一つの殿堂があり、温和と信仰と誠と希望と憧憬《どうけい》と幻とから成ってる一つの魂があった。
コゼットはまだほとんど子供のままで修道院から出てきた。彼女は十四歳をわずか越したばかりで、まだ「いたずら盛り」の時期にあった。既に言ったとおり、彼女は目を除いてはきれいというよりむしろ醜いかとさえ思われた。けれども何ら下卑た顔立ちを持っていたのではなく、ただ不器用でやせ形で内気で同時に大胆であるばかりだった。要するに大きな小娘に過ぎなかった。
彼女の教育は終わっていた。すなわち宗教を教わり、特に祈祷《きとう》の心を教わり、次に修道院でいわゆる「歴史」と呼ばれる地理と文法と分詞法とフランス諸王のことと多少の音楽とちょっとした写生など種々のことを教わっていた。しかし彼女はその他をいっさい知らなかった。それは一つの美点であるがまた一つの危険でもある。年若い娘の魂は薄暗がりのままにすてておくべきものではない。やがては、暗室の中におけるが
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