は危険なんか何であろう。また終わりに、用心をし適当な警戒をなすのに彼を妨ぐるものは何もなかった。
コゼットの教育の方は、もうほとんど終わって完成していた。
一度決心を定めると、彼はただ機会を待つばかりだった。しかるに機会はやがてやってきた。フォーシュルヴァン老人が死んだのである。
ジャン・ヴァルジャンは修道院長に面謁《めんえつ》を願って、こう申し立てた。兄が死んだについて多少の遺産が自分のものとなって、これからは働かないで暮らすことができるので、修道院から暇をもらって娘をつれてゆきたい。けれども、コゼットは誓願をしていないから、無料で教育されたことになっては不当である。それで、コゼットが修道院で過ごした五年間の謝礼として、五千フランの金をこの修道会に献ずることを、どうか許していただければ仕合わせである。
そのようにしてジャン・ヴァルジャンは、常住礼拝の修道院から出て行った。
修道院を去りながら彼は、例の小さな鞄《かばん》を自らわきの下に抱えて、それをだれにも持たせず、鍵《かぎ》は常に身につけていた。その中からはいいかおりが出てるので、非常にコゼットの心をひいた。
今ここに言
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