たことは本当だった、この大通りだったのね。まあどんなにあなたをさがしたでしょう。あなた知っていて、あたしは牢《ろう》にはいってたのよ。十五日間。でも許されたわ。何も悪いことはなかったんだから、それにまた分別のつく年齢《とし》でもなかったからよ。二月《ふたつき》だけ不足だったのよ。まあどんなにあなたをさがしたでしょう。もう六週間にもなるわ。あなたはもうあすこにはいないのね。」
「いない。」とマリユスは言った。
「ええわかっててよ。あのことがあったからでしょう。あんな荒っぽいことはいやね。それで引っ越したのね。あら、どうしてそんな古い帽子をかぶってるの。あなたのような若い人は、きれいな着物を着てるものよ。ねえマリユスさん、マブーフのお爺さんはあなたのことを男爵マリユス何とかって言ってたわ。でもあなたは男爵じゃないわね。男爵なんてものはみんなお爺さんだわね。リュクサンブールのお城の前に行って、日当たりのよい所で、一スーのコティディエンヌ新聞なんかを読んでる人のことね。あたしは一度、そんな男爵の所へ手紙を持って行ったことがあるのよ。もう百の上にもなろうというお爺さんだったわ。だが、あなたは今ど
前へ 次へ
全722ページ中116ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
ユゴー ヴィクトル の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング