者[#「御者」に傍点]と称していて、監獄の建物の屋根越しに一つの中庭から他の中庭へそれを投げ込むことを[#「投げ込むことを」に傍点]、アイルランドへやると言っていた。言葉の起こりは、イギリス越しに――一つの土地から他の土地へ――アイルランドへ、ということになる。さてこのパンのたまが中庭に落ちる。それを拾った者が中を開くと、その中庭のある囚人へあてられた手紙がはいっている。それが普通の囚人に拾われる時には、手紙はあてられた者へ渡される。看守に拾われるか、または監獄では羊と呼ばれ徒刑場では狐《きつね》と呼ばれる秘密に買収された囚人に拾われる時には、手紙は事務所へ持ってゆかれて警察に渡される。
 その日ちょうど御者は、あて名の男がその時離れ[#「離れ」に傍点]にはいってはいたけれども、うまくそこに行き着いた。あて名の男というのは、パトロン・ミネットの四人の首領のひとりたるバベにほかならなかった。
 御者の中には一片の巻いた紙がはいっていて、その上にはわずか次の数文字がしたためてあるきりだった。

[#天から4字下げ]バベ。プリューメ街に仕事がある。庭に鉄門がついている。

 それは前夜ブリュ
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