「運命はやはり同じことだ。」マリユスのような夢想家は往々極度の煩悶《はんもん》に陥るもので、そこから絶望的な決意が生じてくる。生の苦しみはたえ難いものである。死はいっそうたやすい。
 その時彼は、自分の果たすべき二つの義務が残ってることを考えた。一つは、コゼットに自分の死を知らせ、最後の別れを告げること。一つは、テナルディエの子でありエポニーヌの弟であるあのあわれな少年を、まさにきたらんとする切迫せる破滅の淵《ふち》から救うこと。
 彼は今もなお紙ばさみを身につけていた。コゼットにあてて幾多の思いを書きしるした手帳がはいっていた紙ばさみである。彼はそれから一枚の紙をぬき取り、鉛筆で次の数行をしたためた。

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私たちの結婚は不可能です。私は祖父に願ったが断わられた。私には財産もなく、あなたも同様です。私はあなたの家に駆けつけたが、あなたはもういなかった。私がなした誓いをあなたは知っているでしょう。私はそれを守るだけです。私は死ぬ。私はあなたを愛する。これをあなたが読む頃には、私の魂はあなたの傍にあって、あなたにほほえんでいるでしょう。
[#ここで字下げ終わり]

 その手紙を封ずるものが何もないので、彼はただ紙を四つに折って、上に次のあて名を書きつけた。

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オンム[#「オンム」に傍点]・アルメ街七番地[#「アルメ街七番地」に傍点]、フォーシェルヴァン氏方[#「フォーシェルヴァン氏方」に傍点]、コゼット[#「コゼット」に傍点]・フォーシュルヴァン嬢様[#「フォーシュルヴァン嬢様」に傍点]。
[#ここで字下げ終わり]

 手紙をたたんでから、彼はちょっと考え込み、紙ばさみをまた取り出し、それを開き、そして同じ鉛筆でその第一頁に、次の数行をしたためた。

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予はマリユス・ポンメルシーという者なり。マレーのフィーユ・デュ・カルヴェール街六番地に住む予が祖父ジルノルマン氏のもとに、予の死骸《しがい》を送れ。
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 彼はその紙ばさみを、上衣のポケットに納め、それからガヴローシュを呼んだ。浮浪少年はマリユスの声を聞いて、うれしげなまた献身的な顔つきをして走ってきた。
「僕のために少し用をしてくれないか。」
「何でもする。」とガヴローシュは言った。「まったくだ、お前がいなかったら、俺《おれ》は
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