刀Eトンネール枢機官は、元のサンリスの司教で四十人のアカデミー会員のひとりである彼の最も親しい友人ロクロール氏から、T夫人の客間に連れてこられたのである。ロクロール氏は、その背の高い身体とアカデミーへの精励とによって有名だった。当時アカデミーの集会所となっていた図書室の隣の広間のガラス戸越しに、好奇な者らは木曜日には必ず元のサンリスの司教を見ることができた。彼はいつも立っていて、あざやかに化粧をし紫の靴下《くつした》をはき、明らかにその小さなカラーをよく見せんためであろうが、戸に背を向けていたものである。右のような聖職者らは、その大部分教会の人であるとともに宮廷の人だったが、T夫人の客間の荘重な趣をますます深からしめていた。また五人の上院議員、ヴィブレー侯爵、タラリュ侯爵、エルブーヴィル侯爵、ダンブレー子爵、ヴァランティノア公爵らは、客間の貴族的な趣を増さしていた。このヴァランティノア公爵は、モナコ侯すなわち他国の主権者ではあったが、フランスおよび上院議員の位を非常に尊敬していて、その二つを通じてすべてのものを見ていた。「枢機官はローマのフランス上院議員であり[#「枢機官はローマのフラ
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