Gスプリと([#ここから割り注]訳者注 使徒ルカ・精霊の意[#ここで割り注終わり])。

     四 百歳の志願者

 彼は子供の時、故郷のムーランの中学校で幾つかの褒賞《ほうしょう》をもらい、彼がヌヴェール公爵と呼んでいたニヴェルネー公爵の手から親しく授かった。国約議会も、ルイ十六世の処刑も、ナポレオンも、ブールボン家の復帰も、その褒賞の思い出を彼の心から消すことはできなかった。ヌヴェール公爵[#「ヌヴェール公爵」に傍点]は、彼にとっては時代の最も偉い大立て物だった。彼はよく言った。「何というりっぱな大貴族だったろう、あの青い大綬《たいじゅ》をつけられたところは何というみごとさだったろう!」ジルノルマン氏の目には、カテリナ二世はベステュシェフから三千ルーブルで黄金精液の秘法を買い取ったので、ポーランド分割の罪をつぐなったことになるのだった。彼は叫んだ。「黄金精液、ベステュシェフの黄色い薬、将軍ラモットの液、それは十八世紀では半オンス壜《びん》が一ルイ([#ここから割り注]二十フラン[#ここで割り注終わり])もしたものだ。恋の災厄に対する偉大な薬で、ヴィーナスに対する万能薬だ。ルイ十
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