叫び声を立て大層な身振りをして、後ろから駆けつけてきた。
「どうしたんだね。どうしたんだね。まあ、戸が破れるじゃないか。家《うち》をこわしでもするのかい。」
 少年はやはり蹴り続けた。
 婆さんは喉《のど》を張り裂かんばかりに叫んだ。
「おい、人の家をそんなにしてもいいものかね。」
 と突然彼女は言葉を切った。先刻の浮浪少年であることに気づいたのである。
「おや、今の餓鬼だよ。」
「おや、お婆さんか。」と少年は言った。「こんちは、ビュルゴンミューシュ婆さん。俺《おれ》はちょっと御先祖様に会いにきたんだ。」
 婆さんは老衰と醜さとをよく利用して即座にしたたか憎しみを現わす変なしかめっ面をしたが、それは不幸にも暗やみの中なので見えなかった、そして答えた。
「もうだれもいないよ、おばかさん。」
「へえー。」と少年は言った。「じゃあ親父《おやじ》はどこにいるんだい。」
「フォルス監獄だよ。」
「おやあ! じゃあ母親《おふくろ》は?」
「サン・ラザール懲治監だよ。」
「なるほど! それから姉たちは?」
「マドロンネット拘禁所だよ。」
 少年は耳の後ろをかいて、ビュルゴン婆さんをながめた、そして言
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