そしてテナルディエの女房がにらみつけてる空地のうちに進み出た。
「近くへ来るな、行っちまえ、」と彼女は叫んだ、「そうしないとぶっつぶすぞ。」
「すごい勢いだな。」とジャヴェルは言った。「上《かみ》さん、お前さんに男のような髯《ひげ》があるからって、わしにも女のような爪《つめ》があるからな。」
そして彼はなお進んで行った。
テナルディエの女房は髪をふり乱し恐ろしい様子をし、足をふみ開き、後ろに身をそらして、ジャヴェルの頭をめがけて狂わんばかりに畳石を投げつけた。ジャヴェルは身をかがめた。畳石は彼の上を飛び越え、向こうの壁につき当たって漆喰《しっくい》の大きな一片をつき落とし、それから、幸いにほとんど人のいなかった室《へや》のまんなかを、角から角とごろごろころがり戻って、ジャヴェルの足下にきて止まった。
同時にジャヴェルはテナルディエ夫婦の所へ進んだ。彼の大きな手は、一方に女房の肩をとらえ、一方に亭主の頭を押さえた。
「指錠だ!」と彼は叫んだ。
警官らは皆一度に戻ってきた。そして数秒のうちにジャヴェルの命令は遂行された。
とりひしがれたテナルディエの女房は、縛り上げられた自分の手
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