にはベンヴェヌート・チェリーニのごとき金工らがおる。自由にあこがれてる不幸な囚人は、時とすると別に道具がなくても、包丁や古ナイフなどで、二枚の薄い片に一スー銅貨を切り割り、貨幣の面には少しも疵《きず》がつかないように両片をくりぬき、その縁に螺旋条《らせんじょう》をつけて、また両片がうまく合わさるようにこしらえることがある。それは自由にねじ合わせたりねじあけたりできるもので、一つの箱となっている。箱の中には時計の撥条《ぜんまい》が隠されている。そしてその撥条をうまく加工すると、大きな鎖でも鉄の格子《こうし》でも切ることができる。その不幸な囚徒はただ一スー銅貨しか持っていないように思われるが、実は自由を所有してるのである。ところで、後に警察の方で捜索をした時、その部屋《へや》の窓に近い寝台の下で見いだされた、二つの片に開かれてる大きな一スー銅貨は、そういう種類のものであった。それからまた、その銅貨の中に隠し得るくらいの小さな青い鋼鉄の鋸《のこぎり》も見い出された。おそらく、悪漢どもが捕虜の身体をさがした時、捕虜はその大きな銅貨を持っていたが、それをうまく手の中に隠し、それから次に、右手が自
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