激の情も憐愍《れんびん》の念もなしに、一種の退屈らしい様子でやってるようだった。彼らは獣のようにすみにかたまって黙々としていた。テナルディエは足を暖めていた。捕虜はまた無言のうちに沈んでいた。先刻その部屋を満たしていた荒々しい騒ぎに次いで、陰惨な静けさがやってきたのである。
芯《しん》に大きく灰のたまってる蝋燭《ろうそく》が、その広い部屋をぼんやり照らしてるばかりで、火鉢の火も弱くなっていた。そしてそこにおる怪物らの頭は、壁や天井に変な形の影を投げていた。
聞こえるものはただ、眠ってる酔っ払いの老人の静かな息の音ばかりだった。
マリユスは種々重なってきた心痛のうちにじっと待っていた。謎《なぞ》はますます不可解になってきた。テナルディエがアルーエットと呼んだあの「子供」はいったい何であったろうか。彼の「ユルスュール」のことであったろうか。捕虜はそのアルーエットという言葉を聞いても少しも心を動かさないらしかった、そしてごく自然に「何のことだか私にはわからない」と答えた。しかし一方に、U・Fという二字は説明された。それはユルバン・ファーブルだった。そしてユルスュールも今はユルスュールと
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