しはつく。ねえ旦那《だんな》、声を立てたら、来る者は警官だ。警官のあとから来る者は裁判官だ。ところで旦那は少しも声を立てなさらねえ。なるほど旦那の方でもわしらと同様、裁判官や警官が来るのを好みなさらねえ。それは旦那に――わしも前からうすうす察してはいましたがね――何か人に知られては都合のよくねえことがありなさるからだ。わしらの方だってそれは同じでさあ。だから互いに話がわかろうっていうもんじゃありませんか。」
そういうふうに話しながら、テナルディエはじっとルブラン氏の上に瞳《ひとみ》をすえて、両眼からつき出した視線の鋭い刃を相手の心の底まで突き通そうとしてるかのようだった。その上彼の言葉は、ずるそうな穏やかな横柄さがこもってはいたが、ごく控え目でかつりっぱだとさえ言えるほどだった。そして先刻まで一強盗にすぎなかったその悪人のうちには、なるほど「牧師になるために学問をした男」があることも感ぜられた。
捕虜が守っている沈黙、自分の生命をも顧みないほどのその注意、まず第一に叫び声を立てるのが当然であるのをじっとおさえてるその我慢、すべてそれらのことを、テナルディエの言葉によってマリユスは初
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