を持ってきて、ほとんどルブラン氏の正面に腰をおろした。彼はもう様子がすっかり変わっていた。わずかな時間のうちに彼の顔つきは、奔放な狂暴さから落ち着き払った狡猾《こうかつ》な冷静さに変わっていた。マリユスは役人のようなその微笑のうちに、一瞬間前まで泡《あわ》を吹いてどなっていたほとんど獣のような口を認めかねるほどだった。彼は呆然《ぼうぜん》としてその不思議な恐るべき変容を見守った、そして猛虎《もうこ》が代言人と早変わりしたのを見るような驚きを感じた。
「旦那《だんな》……。」とテナルディエは言った。
そしてなおルブラン氏を押さえてる悪人どもに少し離れるように手まねをした。
「少しどいてくれ、旦那にちょっと話があるんだ。」
皆の者は扉《とびら》の方へさがった。彼は言い出した。
「旦那、窓から飛び出そうなんてよくありませんぜ。足をくじくかも知れませんからな。でまあ穏やかに話をつけようじゃありませんか。第一わしの方でも気づいたことを申さなくちゃならねえ、と言うのは旦那、これだけのことに少しも声を立てなさらねえことだ。」
テナルディエの言うのは道理で、心乱れてるマリユスはいっこう気づかなか
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