は扉《とびら》の片すみに行き、一束の繩《なわ》を取り、それを皆の所へ投げやった。
「寝台の足に縛りつけろ。」と彼は言った。
 そして、ルブラン氏の一撃を食って室《へや》の中に長く横たわり、身動きもしないでいる老人を見て、彼は尋ねた。
「ブーラトリュエルは死んだのか。」
「いや酔っ払ってるんだ。」とビグルナイユが答えた。
「すみの方に片づけろ。」とテナルディエは言った。
 ふたりの「暖炉職工」は、足の先でその泥酔者を鉄屑《てつくず》の積んであるそばに押しやった。
「バベ、どうしてこう大勢連れてきたんだ。」とテナルディエは棍棒《こんぼう》の男に低い声で言った。「むだじゃねえか。」
「仕方がねえ、皆きてえって言うから。」と棍棒の男は答えた。「どうもこの頃は不漁《しけ》でね、さっぱり商売がねえんだ。」
 ルブラン氏が押し倒された寝台は、施療院にあるようなもので、四角が荒削りの四本の木の足がついていた。
 ルブラン氏はされるままに身を任した。悪党どもは窓から遠くて暖炉に近い方のその一本の足に、両足を床《ゆか》につけて立たしたまま彼を縛りつけた。
 すっかり縛り終えた時、テナルディエは椅子《いす》
前へ 次へ
全512ページ中473ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
ユゴー ヴィクトル の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング