」と彼は女房に叫んだ。そしてルブラン氏の方へ向き直った。
「悪党だと! なるほどな、金のある奴《やつ》らは俺たちのことをそうぬかしやがる。なるほどそれに違えねえ。俺《おれ》は破産をし、身を隠し、食うものもねえし、金もねえし、それで悪党だ。もう三日というもの何にも口にしねえ、それで悪党だ。それに貴様らは、足を暖かくし、サコスキの上靴《うわぐつ》をはき、毛のはいった外套《がいとう》を着、大司教のような様子をし、門番のついた家の二階に住み、松露を食い、正月には四十フランもするアスパラガスを食いちらし、豌豆《えんどう》を食い、口一杯にほおばり、そして寒いかどうか知りてえ時には、シュヴァリエ技師の寒暖計がいくらさしてるか新聞で見やがる。だがな、本当の寒暖計は俺たちだ。時計台の角《かど》の河岸《かし》に出て、何度の寒さかを見にゆく必要はねえんだ。俺たちは脈の血が凍り心臓にも氷がはるのを感ずるんだ。そしては、神もねえのかって言うんだ。そういう時に貴様らは、俺たちの巣にやってきやがって、そうだ巣にやってきやがって、悪党だなんてぬかすんだ。だがな俺たちは、貴様らを食ってやるんだ。金持ちのちびども、貴様ら
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