は二月四日じゃなくて一月八日になってるってことをな。ばか野郎め! そしてつまらねえフィリップ([#ここから割り注]訳者注 ルイ・フィリップ王の肖像がある二十フラン金貨[#ここで割り注終わり])を四つ持ってきやがった。恥知らずめ! せめて百フランでも持って来りゃあまだしもだ。だがまあうまく俺のおもしろくもねえ策に乗りやがった。ほんにおかしいや。俺《おれ》はひとりでこう言っていたんだ。『おばかさん、さあつかまえたぞ。今朝《けさ》はてめえの足をなめてやる、だが晩になってみろ、心臓までもしゃぶってやるからな。』」
 テナルディエはしゃべるのをやめた。彼は息を切らしていた。その小さな狭い胸は、鍛冶屋《かじや》の※[#「韋+鞴のつくり」、第3水準1−93−84]《ふいご》のように[#「※[#「韋+鞴のつくり」、第3水準1−93−84]《ふいご》のように」は底本では「鞴《ふいご》のように」]あえいでいた。その目は賤《いや》しい幸福の色に満ちていた。恐れていた者をついにうち倒し媚《こ》びていた者をついに侮辱してやったという残忍|卑怯《ひきょう》な弱者の喜びであり、巨人ゴライアスの頭を土足にかける侏儒《
前へ 次へ
全512ページ中462ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
ユゴー ヴィクトル の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング