ルブラン氏が現われた。
彼はいかにも朗らかな様子をしていて、妙に尊く思われた。
彼はテーブルの上にルイ金貨を四個(八十フラン)置いた。
「ファバントゥー君、」と彼は言った、「これは君の家賃と当座の入用のためのものです。その他のことは御相談するとしましょう。」
「神様があなたにむくいて下さいますように、御慈悲深い旦那様《だんなさま》。」とジョンドレットは言った。
それから彼は急いで女房に近寄った。
「馬車を返せ。」
亭主がルブラン氏にお世辞をあびせかけ椅子《いす》を進めてる間に、女房はそっとぬけ出した。そして間もなく戻ってきて亭主の耳にささやいた。
「すんだよ。」
朝から降り続いていた雪は深く積っていたので、馬車のきたのも聞こえなければ、また馬車が帰ってゆくのも聞こえなかった。
そのうちにルブラン氏は腰を掛けた。
ジョンドレットはルブラン氏と向き合った椅子に腰をおろした。
さてこれから起こるべき光景をよく理解せんために、読者は次のことを頭に入れておいていただきたい。凍りつくような寒い夜、雪が積って月光の下に広い経帷子《きょうかたびら》のように白く横たわって寂莫《せきば
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