房を見た時必ずふきだしていたに違いない。シャール十世の即位式に列した武官の帽子にかなり似寄った羽のついた黒い帽をかぶり、メリヤスの裳衣の上に格子縞《こうしじま》の大きな肩掛けを引っかけ、その朝娘がいやがった男の靴《くつ》をはいていた。そういう服装が先刻ジョンドレットをして感嘆せしめたのである。「うむ[#「うむ」に傍点]、[#「うむ[#「うむ」に傍点]、」は底本では「うむ、[#「うむ、」に傍点]」]なるほどお前はうまくおめかしをしたな[#「なるほどお前はうまくおめかしをしたな」に傍点]。向こうに安心させなけりゃいけねえからな[#「向こうに安心させなけりゃいけねえからな」に傍点]。」
ジョンドレットはルブラン氏からもらった少し大きすぎる新しい外套《がいとう》を相変わらず着ていた。そしてその外套とズボンとが妙な対照をなして、クールフェーラックに詩人だろうという考えを起こさした時と同じ様子だった。
突然ジョンドレットは声を高めた。
「ところでちょっと思い出したが、こんな天気では馬車で来るにきまってる。龕灯《がんどう》をつけて、それを持って下に行け。下の戸の後ろに立っているんだ。馬車の止まる
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