とびら》のとっ手に手をかけた時、警視は彼に呼びかけた。
「それから、それまでに何か私《わし》に用ができたら、ここに自分で来るか使いをよこすかしたまえ、警視のジャヴェルと言ってくればわかる。」

     十五 ジョンドレット買い物をなす

 それから少したって、三時ごろ、クールフェーラックがボシュエと連れ立って、偶然ムーフタール街を通った。雪はますます降りしきって、空間を満たしていた。ボシュエはクールフェーラックにこんなことを言っていた。
「こう綿をちぎったような雪が落ちて来るのを見ると、何だか天には白い蝶《ちょう》の疫病でも流行してるらしく思えるね。」
 と突然ボシュエは、変な様子をして市門の方へ街路を歩いて行くマリユスの姿を認めた。
「おや、」とボシュエは叫んだ、「マリユスだ。」
「僕も知ってる。」とクールフェーラックは言った。「だが言葉をかけるのはよそうや。」
「なぜだ。」
「気を取られてるんだ。」
「何に?」
「あの顔つきを見たらわかるじゃないか。」
「顔つきって?」
「だれかの跡をつけてるような様子だ。」
「なるほどそうだ。」とボシュエは言った。
「まああの目つきを見てみたま
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