君が見つけなかったからって怪しむに足りん。」
「見ません。いったいそいつらは何者ですか。」とマリユスは尋ねた。
 警視は言った。
「その上まだ奴らの出る時ではないからな。」
 彼はまたちょっと口をつぐんだが、やがて言った。
「五十・五十二番地と。家は知ってる。中に隠れようとすれば、役者どもにきっと見つかる。そうすればただ芝居をやらずに逃げるばかりだ。どうも皆はにかみやばかりで、見物人をいやがるからな。そりゃあいかん、いかん。少し奴らに歌わしたり踊らしたりしたいんだがな。」
 そんな独語を言い終わって、彼はマリユスの方へ向き、じっとその顔を見ながら尋ねた。
「君はこわいかね。」
「何がです?」とマリユスは言った。
「その男どもが。」
「まああなたに対してと同じくらいなものです。」とマリユスはぶしつけに答えた。その警官が自分に向かってぞんざいな言葉ばかり使ってるのを、彼はようやく気づき初めていた。
 警視はなおじっとマリユスを見つめ、一種のおごそかな調子で言った。
「君はなかなか勇気のあるらしい正直者らしい口のきき方をする。勇気は罪悪を恐れず、正直は官憲を恐れずだ。」
 マリユスはその言葉
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