ニいう慢《ほこ》らかな教訓がなければならない。豪胆は歴史を輝かすものであって、人間の最も大なる光輝の一つである。曙光《しょこう》は立ち上る時に敢行する。試み、いどみ、固執し、忍耐し、自己に忠実であり、運命とつかみ合い、恐怖の過少をもってかえって破滅を驚かし、あるいは不正なる力に対抗し、あるいは酔える勝利を侮辱し、よく執《しう》しよく抗する、それがすなわち民衆の必要とする実例であり、民衆を奮起せしむる光明である。その恐るべき光こそ、プロメテウスの炬火《たいまつ》からカンブロンヌの煙管《パイプ》に伝わってゆくところのものである。
十二 民衆のうちに潜める未来
パリーの民衆は、たとい大人《おとな》に生長しても、常に浮浪少年《ガマン》である。その少年を描くことは、その都市を描くことである。鷲《わし》をその磊落《らいらく》なる小雀《こすずめ》のうちにわれわれが研究したのは、このゆえである。
あえて力説するが、パリー民族が見られるのは特にその郭外においてである。そこに純粋の血があり、真の相貌《そうぼう》がある。そこにこの民衆は働きかつ苦しんでいる。苦悩と労働とは人間の二つの相であ
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