の一家にはそんな者はひとりもありません。私は娘どもをりっぱに教育したいのでありまして、ただ正直になるように、温順になるように、尊い神様を信ずるようにと願っております。――それから旦那、りっぱな旦那様、私どもが明日どんなことになるかは御承知でもございますまい。明日は二月四日で、いよいよの日でございます。家主に待ってもらった最後の日でございます。もし今晩払いをしませんと、明日は、姉娘と、私と、熱のある家内と、けがをしている子供と、私ども四人はここから外に、往来に、追い出されてしまいまして、宿もなく、雨の中を、雪の中を、路頭に迷わなければなりません。かようなわけでございます、旦那様。四期分の、一年分の、借りがあるのでございまして、六十フランになっております。」
 ジョンドレットは嘘《うそ》を言った。家賃は四期で四十フランにしかならないはずであるし、またマリユスが二期分を払ってやってから六カ月しかたっていないので、四期分の借りができてるわけもなかった。
 ルブラン氏はポケットから五フランを取り出して、それをテーブルの上に置いた。
 ジョンドレットはそのわずかな暇に姉娘の耳にささやいた。
「ばか
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