Bパリーは流行以上のものを、慣例を作る。もし気が向けばばかとなることもある。時としては自らそういう贅沢《ぜいたく》もする。すると世界はパリーとともにばかとなる。それからパリーは目をさまし、目をこすりながら言う、「ほんとに俺《おれ》はばかげてる!」そして人類の面前に向かって放笑《ふきだ》す。そういう都市は何と驚くべきものではないか。不思議にも、その偉大さとその滑稽《こっけい》さとは親しく隣合い、その威厳はその戯言《ざれごと》から少しも乱さるることなく、同じ一つの口が、今日は最後の審判のラッパを吹き、明日は蘆笛《あしぶえ》を吹き得るのである。パリーは主権的な陽気さを持っている。その快活は火薬でできており、その滑稽は帝王の笏《しゃく》を保っている。その颶風《ぐふう》は時として一の渋面から出て来る。その爆発、その戦乱、その傑作、その偉業、その叙事詩は、世界の果てまでも響き渡る、そしてその諧謔《かいぎゃく》も世界の果てにおよぶ。その笑いはすべての土をはね上げる火山の口である。その嘲弄《ちょうろう》は火炎である。彼は各民衆にその風刺と理想とを課する。人間の文明の最も高い記念塔は、彼の皮肉を受け入れ
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