がなすように物を調べ観察し精査する。マリユスは突然飛び上がった。高く天井に近い所に、三枚の割り板がよく合わないでできてる三角形の穴が一つあるのを、気づいたのである。そのすき間をふさいでいたはずの漆喰はなくなっていた。戸棚の上に上れば、そこからジョンドレットのきたない室の中は見られる。哀憐《あいれん》の情にも、好奇心があり、またあるべきはずである。そのすき間は一種ののぞき穴になっていた。不運を救わんがためには、それをひそかにながめることも許される。「彼らはどういう者であるか、またどんな状態でいるか、少し見てやろう、」とマリユスは考えた。
彼は戸棚の上にはい上がり、瞳《ひとみ》を穴にあてがい、そしてながめた。
六 巣窟《そうくつ》中の蛮人
都市にも森林と同じく、その最も猛悪なる者が身を隠してる洞窟《どうくつ》がある。ただ都市にあっては、かく身を隠す者は、獰猛《どうもう》で不潔で卑小で、一言にして言えば醜い。森林にあっては、身を隠す者は、獰猛で粗野で偉大で、一言にして言えば美しい。両者の巣窟を比ぶれば、野獣の方が人間よりもまさっている。洞窟は陋屋《ろうおく》よりも上である。
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