Aぼろ[#「ぼろ」に傍点]と言われていて、その小さな浮浪少年の仲間にごく規則だった一定の流通をする。
最後に、彼らは独特な動物を持っていて、すみずみでそれを熱心に観察する。臙脂虫《えんじむし》、油虫、足長蜘蛛《あしながぐも》、二つの角のある尾を曲げて人をおびやかす黒い昆虫《こんちゅう》の「鬼」。また物語にあるような怪物をも持っている。腹に鱗《うろこ》があるけれど、蜥蜴《とかげ》でもなく、背中に疣《いぼ》があるけれど、蟇《がま》でもなく、古い石灰|竈《かまど》やかわいた水溜《みずため》などの中に住んでいて、まっ黒で毛がはえ、ねばねばして、あるいは遅くあるいは早くはい回り、声は出さないがじっと見つめ、だれもかつて見たこともないような恐ろしいものであって、彼らはその怪物を「つんぼ」と呼んでいる。石の間に「つんぼ」をさがし回ることは、身の毛のよだつような楽しみである。なお別の楽しみは、急に舗石《しきいし》を上げて草鞋虫《わらじむし》を見つけることである。またパリーの各地は、そこで見つかる種々なおもしろいもので名がとおっている。ユルシュリーヌの建築材置き場の中にははさみ虫、パンテオンには百足虫
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