意外な平野を展開させるに足りる。たちまちにして視界の変化する急激な転向を事とする対話である。偶然がかかる会話の運転手である。
言葉のかち合いから妙なふうに起こってきた一つの厳粛な思想が、グランテール、バオレル、プルーヴェール、ボシュエ、コンブフェール、クールフェーラックらの入り乱れた言葉合戦の中を、突如としてよぎっていった。
対話の中にいかにして一つの文句が起こってくるか。いかにしてその文句が突然聞く人々の注意をひくに至るのか。今述べたとおり、それはだれにもわからないことである。ところで、喧囂《けんごう》の最中に、ボシュエはふいにコンブフェールに何か言いかけて、次の日付でその言葉を結んだ。
「一八一五年六月十八日、ワーテルロー。」
そのワーテルローという言葉に、水のコップをそばにしてテーブルに肱《ひじ》をついていたマリユスは頤《おとがい》から拳《こぶし》をはずして、じっと聴衆をながめ初めた。
「そうだ、」とクールフェーラックは叫んだ、「この十八という数は不思議だ。実に妙だ。ボナパルトに禁物の数だ。前にルイという字を置き後に霧月という字を置いて見たまえ([#ここから割り注]訳者注
前へ
次へ
全512ページ中214ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
ユゴー ヴィクトル の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング