フ駅馬車はどこへ行くんです。」
「アンドリーへです。」
「ではマリユスはそこへ行くんでしょうね。」
「ええ、私のように途中で降りさえしなければ。私はガイヨンの方へ乗り換えるためにヴェルノンで降ります。私はマリユスがどの方へ行くつもりかは少しも知りません。」
「マリユスって、まあ何て賤《いや》しい名でしょうね。どうしてマリユスなんていう名をつけたんでしょう。だけどお前の方はまあ、テオデュールというんですからね。」
「でもアルフレッドという方が私は好きです。」と将校は言った。
「まあ聞いておくれよ、テオデュール。」
「聞いていますよ、伯母《おば》さん。」
「気をつけてですよ。」
「気をつけていますよ。」
「いいですかね。」
「はい。」
「ところで、マリユスはよく家をあけるんですよ。」
「へえー。」
「旅をするんですよ。」
「ははあ。」
「泊まってくるんですよ。」
「ほほう。」
「どうしたわけか知りたいんですがね。」
テオデュールは青銅で固めた人のように落ち着き払って答えた。
「何か艶種《つやだね》でしょう。」
そしてまちがいないというような薄ら笑いをして、彼は言い添えた。
「女ですよ。
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