「どうしてそれを知っています?」と伯母はにわかに強い好奇心にそそられて言った。
「こちらへ着いてから、前部の席を約束しておこうと思って馬車屋へ行きました。」
「すると?」
「するとひとりの客が上部の席を約束していました。私はその名札を見ました。」
「何という名でした。」
「マリユス・ポンメルシーというんです。」
「まあ何ということでしょう。」と伯母《おば》は叫んだ。「お前の従弟《いとこ》はお前のようにちゃんとした子ではないんですよ。駅馬車の中で夜を明かそうなんて。」
「私と同じようにですね。」
「いえお前の方は義務ですからね。あれのは無茶なんです。」
「おやおや!」とテオデュールは言った。
 そこで姉のジルノルマン嬢に一事件が起こった。ある考案が浮かんだのである。もし男だったら額をたたくところだった。彼女はテオデュールに尋ねはじめた。
「お前の従弟はお前を知ってるでしょうか。」
「いいえ。私の方は従弟を見たことがあります、けれど向こうでは一度も私に目を向けたことはありません。」
「でお前さんたちはちょうどいっしょに旅するわけですね。」
「ええ、彼は上部の席で、私は前部の席で。」
「そ
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