tである旅亭主テナルディエをさがした。しかしテナルディエは破産して、宿屋は閉ざされ、どうなったか知ってる者はいなかった。その探索のために、マリユスは四日間家をあけた。
「確かにこれは調子が狂ってきたんだな。」と祖父は言った。
彼がシャツの下に何かを黒いリボンで首から胸にかけてるのを、ふたりは見たようにも思った。
七 ある艶種《つやだね》
ひとりの槍騎兵《そうきへい》のことを前にちょっと述べておいた。
それはジルノルマン氏の父方《ちちかた》の系統で、甥《おい》の子に当たり、一族の外にあって、いずれの家庭からも遠く離れ、兵営の生活を送っていた。そのテオデュール・ジルノルマン中尉は、いわゆるきれいな将校たるすべての条件をそなえていた。「女のような身体つき」をし、揚々たる態度でサーベルを引きずり、髭《ひげ》を上に巻き上げていた。時にパリーに来ることがあったが、それもごくまれで、マリユスはかつて会ったことがないくらいだった。ふたりの従兄弟《いとこ》は互いに名前だけしか知ってはいなかった。前に言ったと思うが、テオデュールはジルノルマン伯母《おば》の気に入りだった。そしてそれも、
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