トいた。しかし一度その橋が落つるや、ふたりの間には深淵《しんえん》が生じた。それからまた特に、愚かな動機によって彼を無慈悲にも大佐から引き離し、かくて父から子供を奪い子供から父を奪ったのは、実にジルノルマン氏であったことを思うと、マリユスは言うべからざる反撥《はんぱつ》の情を覚えた。
父に対する愛慕のために、マリユスはほとんど祖父を嫌悪《けんお》するに至った。
けれどもそれらのことは、前に言ったとおり、外部には少しも現われなかった。ただ彼はますます冷淡になって、食事も簡単にすまし、家にいることも少なくなった。伯母《おば》がそれについて小言《こごと》を言った時、彼はごくおとなしくしていて、その口実に、勉強だの学校の講義だの試験だの講演会だの種々なことを持ち出した。祖父の方はその一徹な見立てを少しも変えなかった。「女のことだ。よくわかってる。」
マリユスは時々家をあけた。
「あんなにしてどこへ行くのでしょう。」と伯母は尋ねた。
その不在はいつもごくわずかな時日だったが、そのうちに彼はある時、父が残したいいつけを守らんために、モンフェルメイュに行って、昔のワーテルローの軍曹《ぐんそう
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