ッられた。彼は感きわまり、身を震わし、息をあえいだ。とにわかに、心のうちに何がありまた何に動かされてるのかを自ら知らないで、彼は立ち上がり、両腕を窓の外に差し伸ばし、陰影を、静寂を、暗黒なる無窮を、永劫《えいごう》の広漠《こうばく》を、じっとながめ、そして「皇帝万歳!」を叫んだ。
その瞬間以来、いっさいが決定した。コルシカの食人鬼――簒奪者《さんだつしゃ》――暴君――自分の姉妹に愛着した怪物――ルマタ([#ここから割り注]訳者注 ナポレオンがひいきにした俳優[#ここで割り注終わり])の教えを受けた道化役者――聖地ジャファの攪乱者《かくらんしゃ》――猛虎――ブオナパルテ――すべてそれらは消散してしまい、そのあとには彼の頭の中に漠然たるしかも光り輝く光明が現われて、そこには届き難い高みに、シーザーの大理石像の青白い幻が光っていた。皇帝は彼の父にとっては、人々の賛嘆し献身する親愛なる将帥にすぎなかった。しかしマリユスにとっては、それ以上の何かであった。世界統一の業をローマ人の一団より継承するフランス人の一団を建設すべく、使命を帯びたる者であった。破壊の驚くべき建造者であり、シャールマーニュ
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