ヘ、共和、帝国、などという言葉はただ恐ろしいものにすぎなかった。共和とは薄暮のうちの一断頭台であり、帝国とは暗夜のうちの一サーベルであった。しかるに今彼はその中をのぞき込んで、混沌《こんとん》たる暗黒をのみ予期していたところに、恐れと喜びとの交じった一種の異様な驚きをもって、星辰《せいしん》の輝くのを見たのである。ミラボー、ヴェルニオー、サン・ジュスト、ロベスピエール、カミーユ・デムーラン、ダントン、それから、上り行く太陽のナポレオン。彼は自分がどこにあるかを知らなかった。彼はそれらの光に眼くらんで後退《あとじさ》った。そのうちしだいに驚きの情が去り、それらの光輝になれ、眩惑《げんわく》なしにそれらの事業をながめ、恐怖の情なしにそれらの人々を見調べた。革命と帝国とは、彼の夢見るような瞳《ひとみ》の前に遠景をなして光り輝いた。そして彼は、その事変と人物との二つの群れが、二つの偉業のうちにつづまるのを見た。民衆に還付された民権の君臨のうちにある共和国と、全欧州に課せられたフランス思想の君臨のうちにある帝国。そして革命のうちから民衆の偉大なる姿が現わるるのを見、帝国のうちからフランスの偉大な
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