の肩章は敵の近衛騎兵の剣に打たれて半ば切れ、大鷲の記章は弾丸にへこみ、全身血にまみれ、泥にまみれ、天晴《あっぱれ》な武者振りをもって、手には折れた剣を握り、そして言った、「戦場においてフランスの元帥はいかなる死に様をするか[#「戦場においてフランスの元帥はいかなる死に様をするか」に傍点]、きたって見よ[#「きたって見よ」に傍点]!」しかしそれも甲斐《かい》なくして、彼は死ななかった。彼は獰猛《どうもう》であり、また憤激していた。彼はドルーエ・デルロンに問いを投げた、「君は死にに行かないのか[#「君は死にに行かないのか」に傍点]、おい[#「おい」に傍点]!」兵士らを一つかみにして粉砕しつつある砲弾のうちに彼は叫んだ、「そして俺にあたる弾丸はないのか[#「そして俺にあたる弾丸はないのか」に傍点]! おお[#「おお」に傍点]、イギリスの砲弾は皆俺の腹の中にはいってこい[#「イギリスの砲弾は皆俺の腹の中にはいってこい」に傍点]!」不運なるネーよ、汝はフランスの弾丸に打たれんがために取り置かれていたのである!([#ここから割り注]訳者注 彼はナポレオンの転覆後王党のために銃殺されたのである[#こ
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