トンの危険を見て取って、ブリューヘルはブューローに攻撃の命令を下し、次の著名な言葉を発した、「イギリス軍に息をつかせなければいけない。」
 それから間もなく、ロスティン、ヒレル、ハッケ、リッセルらの各師団は、ロボーの軍団の前面に展開し、プロシアのウィルヘルム大侯の騎兵はパリスの森から現われ、プランスノアは火炎に包まれた。そしてプロシアの砲弾は、ナポレオンの背後に予備として控えていた近衛兵の列中まで雨とそそぎ初めた。

     十二 近衛兵

 その後のことは人の知るとおりである。第三の軍勢の突入、戦闘の壊裂、にわかにとどろく八十六門の砲、ブューローとともに到着したピルヒ一世、ブリューヘル自ら率いたツィーテンの騎兵、押し返されたフランス軍、オーアンの高地から掃蕩《そうとう》されたマルコンネ、パプロットから駆逐されたデュリュット、退却するドンズローとキオー、半側面より攻撃されたロボー、援護を失ったフランス各連隊の上に薄暮に落ちかかってきた新戦闘、攻勢を取って進んできたイギリス軍の全線、フランス軍のうちに開けられた大きな穴、互いに相助くるイギリスとプロシアとの霰弾《さんだん》、殲滅戦《せん
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