祈念をこらしていたのである。
彼は直接に神の前には、あえてひざまずき得なかったかのようである。
彼を取り巻いていたいっさいのもの、その平和なる庭、そのかおり高き草花、楽しい叫び声を上げるその子供ら、まじめな単純なその婦人ら、黙々たるその修道院、それらは徐々に彼のうちにしみ込んできた。そしてしだいに、その修道院のような沈黙と、その花のような香《かお》りと、その庭のような平和と、その婦人らのような単純さと、その子供らのような喜悦とで、彼の心は作らるるに至った。それからまた彼は、生涯の二つの危機に際して相次いで自分を迎え取ってくれたものは、二つの神の住居であったことを考えた。第一のものは、すべての戸がとざされ人間社会から拒まれた時に彼を迎えてくれ、第二のものは、人間社会から再び追跡され徒刑場が再び口を開いた時に彼を迎えてくれた。第一のものがなかったならば、彼は再び罪悪のうちに陥っていたであろう。また第二のものがなかったならば、彼は再び苦難のうちに陥っていたであろう。
彼の全心は感謝のうちに溶け去り、そして彼はますます愛の念を深くした。
幾年かがかくして過ぎ去った。コゼットもしだいに生
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