いにはじゅうぶん空を見ることができ、心を楽しませるくらいにはじゅうぶんコゼットを見ることができた。
きわめて穏やかな生活が再び彼に初まった。
彼はフォーシュルヴァン老人とともに庭の奥の小屋に住んでいた。その陋屋《ろうおく》は土蔵造りであって、一八四五年にはなお残っていたが、読者の既に知るとおり、三つの室《へや》から成っていて、どの室もみな裸のままの露《あら》わな壁があるばかりだった。その一番いい室は、ジャン・ヴァルジャンがこばむにもかかわらず、マドレーヌ氏へとしてフォーシュルヴァンがむりに与えてしまった。その室の壁には、膝当《ひざあて》と負籠《おいかご》とをかける二つの釘《くぎ》のほかに、飾りとして一七九三年の王家の紙幣が、暖炉の上の方に壁にはってあった。その模写は次のとおりである。([#ここから割り注]訳者注 図中の文字も念のために訳出す[#ここで割り注終わり])
[#王家の紙幣の図、図省略]
[#ここから紙幣の文字の訳文]
国王の名において
十リーヴル兌換券
軍需品代として交付す
平和確立とともに償還す
第三部 第一〇三九〇号
ストフレー
正教王党軍(欄外に)
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