ます。家中が大騒ぎをしています。皆その方に気を取られています。死にかかってる人は聖者なんです。いや実はここではみな聖者です。あの人たちと私との違いと言えばただ、あの人たちは私どもの部屋と言うのに、私は私の小屋と言うくらいのものです。死にかかると祈祷がありますし、死ぬとまた祈祷があるんです。で今日《きょう》だけはまずここにいて安心でしょうが、明日《あす》のところはわかりませんよ。」
「だが、」とジャン・ヴァルジャンは注意した、「この小屋は壁の陰になってるし、あの廃《すた》れた家に隠されてるし、木立ちもあるので、修道院から見えはすまい。」
「そのうえ修道女たちはここへは決してやってきません。」
「それで?」とジャン・ヴァルジャンは言った。
 それで? というその疑問の調子は、「ここに隠れていることができるだろう」という意味だった。フォーシュルヴァンはその疑問の調子に答えた。
「それでも娘たちがいます。」
「娘たちというのは?」とジャン・ヴァルジャンは尋ねた。
 フォーシュルヴァンがそれを説明するために口を開いた時に、鐘が一つ鳴った。
「修道女が死にました。」と彼は言った。「あれが喪の鐘です
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