犯となり、しかもジャン・ヴァルジャンにとってはその修道院から牢獄まではただ一歩を余すのみだったからである。最も安全だというのは、もしそこに許されて止まることができたら、だれからもさがしにこられる憂いがなかったからである。不可能の場所に住むこと、それが安全の策であった。
 フォーシュルヴァンの方では、しきりに頭を悩ましていた。彼はまず、少しも訳がわからぬことを自ら認めた。あの高い壁にかこまれているのに、どうしてマドレーヌ氏がはいってきたのだろう。この修道院の壁は乗り越せるものではない。それにどうして子供を連れてはいってきたのだろう。腕に子供をかかえてつき立った壁を攀《よじ》登れるものではない。またあの子供は何者だろう。二人はいったいどこからきたのだろう。フォーシュルヴァンはその修道院にはいっていらい、モントルイュ・スュール・メールのことについては何の噂《うわさ》も聞かず、そこに起こったことを少しも知っていなかった。と言って、マドレーヌ氏の様子は事情を尋ねるのも気の毒なほどだった。その上フォーシュルヴァンは自ら言った、「聖者に何かと尋ねるものではない。」マドレーヌ氏は彼の目から見れば、まだ
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