さしく寂滅牢[#「寂滅牢」に傍点]の跡である。それらの地牢の各には、一つの鉄の扉《とびら》のなごりと、一つの厠《かわや》と、格子《こうし》のはまった一つの軒窓とが残っている。その軒窓は、外部では川の水面上二尺の所になっており、内部では地上六尺の所になっている。四尺の厚さの川水が壁の外を流れているわけである。地面はいつも湿っている。寂滅牢[#「寂滅牢」に傍点]にはいった者は、その湿った地面の上に寝ていたのである。地牢のうちの一つには、壁にはめ込んである鉄鎖の一片が残っている。またあるものの中には、四枚の花崗岩《かこうがん》でできてる四角な箱のようなものが見られる。それは中に寝るにはあまりに短く、中に立つにはあまりに低い。昔その中に人を入れて上から石の蓋《ふた》をしたものである。それが残っている。目で見、手でさわることができる。それらの寂滅牢[#「寂滅牢」に傍点]、それらの地牢、それらの鉄の扉の肱金《ひじがね》、それらの鉄鎖、川の水がすれすれに流されているその高い軒窓、墓穴のように花崗岩の蓋がされて中の者に死者と生者との違いがあるのみのその石の箱、泥深いその地面、その厠《かわや》の穴、水の
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