、とフルーリー・ド・シャブーロンは言っている。彼の性格の根本は快活な気分であった[#「彼の性格の根本は快活な気分であった」に傍点]、とグールゴーは言っている。巧妙なというよりもむしろばかげた揶揄に彼は富んでいた[#「巧妙なというよりもむしろばかげた揶揄に彼は富んでいた」に傍点]、とバンジャマン・コンスタンは言っている。巨人のかかる快活は力説するの労に価するものである。その擲弾兵《てきだんへい》を「敵愾兵《てきがいへい》」と呼んだのも彼であった。彼は彼らの耳をつねり、その髯《ひげ》を引っ張った。皇帝はわれわれにいたずらばかりなされた[#「皇帝はわれわれにいたずらばかりなされた」に傍点]、というのは彼らの一人の言葉である。エルバ島よりフランスへの秘密な航海中、二月二十七日海上において、フランスの軍艦ゼフィールはナポレオンが隠れていたアンコンスタン号に出会って、ナポレオンの消息を尋ねると、エルバ島に彼がはやらした蜂《はち》のついた白と鶏頭色との帽章を当時なおその帽子につけていた皇帝は、笑いながらラッパを取って自分で答えた、「皇帝は丈夫だ[#「皇帝は丈夫だ」に傍点]。」そういう冗談をする者は、
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